内神田三丁目プロジェクト

Uchikanda 3-chome Project

2020

建築面積 | 124㎡
延床面積 | 1192㎡
用途 | 飲食店・事務所
構造 | 鉄骨造、12階
設計 | 空間構想一級建築士事務所
協力 | 辻昌志建築設計事務所
構造 | KAP
設備 | 明野設備研究所
ブランディング | GRAPH
施工 | (株)藤木工務店

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将来のまちの遺伝子の建築

 建築ができるときには、その周囲の環境は決まっています。だから、その環境に合わせて建築を設計する、というのはよく理解できます。しかし、時間の中での自分の立ち位置を少しスライドさせると、建築ができた後に、その周囲の環境も変わっていく、という見方ができるはずです。そうであるならば、まちがこう変わっていったらいいのに、という理想的なまちの将来像を予め想定して建築の設計をすることもできるはずです。

 今でこそ広く知られるようになった、コーリン・ロウのコンテクスチュアリズムという1965年の言説は、本来、建築を文脈に合わせて設計するという意味ではなく、ある理想形をコンテクストに応じて変形させることにより、都市空間と建築形態を決定し、漸進的に都市全体を改変していく方法論として提唱されたものです。これは、都市の中ではたった1粒の建築でも、いつかは都市に大きな変化をもたらすきっかけとなれる、という前提にたっています。

 将来、こうなったらいいな、というまちの姿をイメージし、そこにたどり着くための建築を設計する、というアプローチ。建築はまちを変えることができる、願いにも似たモチベーションを建築に落とし込む方法論を模索しました。

 JR山手線の神田駅すぐに建つ12階建のテナントビルです。1階から3階までの低層部が外部階段で直接アクセスできるようになっています。外部階段に付随する踊り場は、各階に外部テラスのような空間を作り出します。交差点を見下ろす位置に配置された階段は、まるで都市の客席のように交差点を行き交う人々を眺め、3階まで人々を誘導します。都市と立体的につながる建築によって、例えば3階くらいまでの低層部に街路から直接アクセスできるようなまちに生まれ変わっていくならば、神田の人情的な界隈性はもっと濃密になっていくはずだし、通りを歩いたときの情報量が増えるに違いない。そういう、将来のまちの遺伝子が埋め込まれた建築を目指しました。

街にアルコーブをつくる

街に接続する低層階と完結的な高層階という組み合わせ

1階の内部からは、建具越しに通りの様子がわかる

外部階段の周りには、居心地の良いスペースが生まれている。

大きな開口からは、外部の街並みが近くに感じられる。

高層階の内部は、透明性の高い空間

低層部と高層部の関係が建築の立面にあらわれる。

エレベーターホールは、街の通りの路地のような空間

街中にあらわれる抽象的なボリュームが、外部階段とつながる

周辺の街並みとの抽象的な接続

外部階段のディテール

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