和歌山市駅前広場

Wakayama-city station square

2020

敷地面積 | 4770㎡
建築面積 | 500㎡
用途 | 停留所上屋・休憩所
構造 | 鉄骨造、1階
設計 | 玉野総合コンサルタント(株)・空間構想一級建築士事務所
構造 | KAP
設備 | 玉野総合コンサルタント(株)・空間構想一級建築士事務所
施工(第1期) | 浅井建設(株)・(有)福嶋商会

MORECLOSE

システムを場所に接続するためのデザイン

 「きのくに」と呼ばれる和歌山には、木が使われた外部空間はほとんどありません。多くの人が集う駅前広場のシェルターは、建築基準法第44条第1項第4号に定められる「公共用歩廊」に該当していますが、この「公共用歩廊」については、建築基準法施行令第145条に構造耐力上主要な部分をS、RC、SRCとすることが定められてしまっています。つまり、現在の建築基準法では、公共的な外部空間のシェルターを木造にすることができない、という仕組みになってしまっています。

 和歌山市は、中心市街地の空洞化や高齢化の進展など、全国の地方都市に特有の社会課題を有しています。一方で、南海電鉄のターミナル駅である和歌山市駅周辺では、市街地再開発事業や市民図書館の移転などの様々な事業を組み合わせることで、都市再生の起爆剤としての効果が期待されています。その起点となる和歌山市駅広場は単なるオープンスペースではなく、「きのくに」のシンボルとなるような木の空間であるべきだと考えました。

 そこで、シェルターの構造体の中のうち、長期荷重を負担するものをS造とし、短期荷重を負担するエレメントをS造+木造とすることで、これまで困難だと思われていた公共的外部空間における木造ハイブリッド建築を可能としました。地場の木材である紀州材の150mm厚のヒノキをφ23のPC鋼棒を緊張力発生材として締め付けることで、短期荷重の負担を可能としています。

 構造物の安全性やエネルギー・交通インフラなど、全国画一のシステムとして決めるべきことがある一方、一定の条件を満たせるのであれば、素材や構法など各地の歴史背景を尊重すべきことも多くあります。全国画一であることを否定するのではなく、システムを場所に接続するためにデザインがあると考えれば、まだまだ実現できる新しい切り口があると思います。

県産材のヒノキの無垢材を鉄骨と組み合わせ、シェルターの構造を形成

雁行して配置されたシェルターが人の居場所を作り出す

夜間にはライトアップされたシェルターが広場を演出する

駅の図書館と接続する部分。駅前広場を利用する車両の覆いとしても利用。

テンションを導入するために木材と鉄骨の納まり。
プロジェクト一覧へ戻る